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経営者支援 ITコーディネート業務効率化システム構築

  • 執筆者の写真清水 尚志

第一章 企業の成果 ⑤戦略計画

戦略計画でないものを知る


未来は望むだけでは起こらない。

今、意思決定しなければいけない。

今、行動し、リスクを冒さなければならない。

必要なのは、長期計画ではなく戦略計画である。


戦略計画と違うものを知ることが大切である。


①戦略計画は魔法の箱や手法の束ではない。思考であり、資源を行動に結びつけるものである。


戦略計画策定時に、様々な手法を使うが、それら手法は、「われわれの事業は、何か」「何であるべきか」の答えを導き出すための道具に過ぎない。戦略計画は、思考、分析、想像、判断を適用することであり、責任である。


②戦略計画は予測ではない。


未来は予見できない。戦略計画が必要とされるのは、まさに、未来が予測できないものであるからである。


予測とは、可能性の範囲を見つけようとすることである。しかし、起業家は、その可能性そのものを変える事を目指す存在である。

企業が利益によって報われる唯一の貢献、すなわち起業家的な貢献とは、経済、社会、政治の状況を変えるイノベーション、真にユニークな出来事を起こすことである。

つまり、予測は、企業に未来を志向させるうえで役に立たない。


③戦略計画は、未来の意思決定に関わるものではない。


戦略計画は、現在の意思決定が未来において持つ意味に関わることである。

意思決定が存在しうるのは、現在だけである。


最大の課題は、「明日何を成すべきか」ではなく「不確実な明日の為に、今何をすべきか」であり、「現在の考え方や行動にいかなる種類の未来を折り込めるか、どの程度先を考えるか」そして「いかにして、今、合理的な意思決定を行うか」が重要である。


われわれは、明日行う意思決定について計画を策定しがちであるが、その行為は楽しいかもしれないが、無益である。意思決定は現在においてのみ行えるのだから。


④戦略計画は、リスクをなくすためのものではない。


リスクをなくす試みは、最終的には、不合理、かつ、際限のないリスクと確実な破滅を招くだけである。

経済活動の本質は、リスクを冒すことである。ゆえに、リスクを皆無にする試みは不毛である。


戦略計画に成功するという事は、より大きなリスクを負担できるようにすることである。より大きなリスクを負担できるようにすることこそ、起業家としての成果を向上させる唯一の方法である。


この文書は、改めて、ドラッカーの洞察力と徹底したリアリストである事の凄さを感じさせてくれた。

戦略計画は、リスクを無くす為の思考ではなく、リスク耐性を強化する事であると説いている。そして、リスク耐性向上こそが企業としての成果を向上させる唯一の方法であると語っている。


 

戦略計画とは何か


戦略計画とは


①リスクを伴う起業家的な意思決定を行う。

②その実行に必要な活動を定型的に組織する

③それらの活動の成果を期待したものと比較測定する


の連続したプロセスを言う。


あらゆる種類の活動、製品、工程、市場において、「もし今日、これを行っていなかったとして、改めて行おうとするか?」と常に問わなくてはならない。もし、「行わなくても良い」と判断した場合は、「いかにして早くやめるか」を問わねばならない。さらに「何を、いつ行うか」を問わねばならない。


リスク耐性を高めるという事は、経営資源をいかに有効に活用するかで決まる。無駄な事は即座にやめなければ、大切な経営資源を無駄にする。そして、気づいたら、即、実行しなければならない。


最善の戦略計画でさえ、仕事として具体化しなければ、良い意図に過ぎない。成果は組織の中の主な人材を割り当てることにより生まれる。


戦略計画は、将来において成果を生むべき活動に資源を割り当てて初めて意味を持つ。


リスクを伴う意思決定を行いたいか、行いたくないかの問題ではない。マネジメントは、その責務からして、、必ず意思決定を行う。違いは責任を持って行うか、無責任に行うかだけの違いしかない。


マネジメントの判断力、指導力、ビジョンは、戦略計画という仕事を体系的に組織化し、そこに知識を適用する事によって強化される。


戦略計画とは、言い換えると、企業の成果を生むために必要な組織を作り、人材を投入し、人を育てることであると言っていると思います。

つまり、組織は人材であり、その人財を活かすために組織がある。組織が活性化し、人材が育ち、判断力や指導力が強化され、共通のビジョンに向かって突き進むための計画が戦略計画であると感じました。


 

これで第一章が終わりました。


企業が成長するには、「顧客の創造」が必須の条件であり、その前提条件として、マーケティングとイノベーションがある。

そして、それらを実現するためには、組織と人材が必要であり、これらを上手にコントロールするためにマネジメントがある。

マネジメントは、責任であり、機能なので、どんな組織にも適用できる。


ということで、第二章は、公的機関の成果 へと進みます。


多くの書籍でも、公的な機関の生産性の低さや、サービスレベルの低さ、モチベーション維持の難しさなどについて書かれていますが、ドラッカーはどのような処方箋を示してくれるか、とても楽しみです。


次回をお楽しみに!

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