「RPA( Robotic Process Automation)」は、ロボティクス・プロセス・オートメーションの頭文字です。最近、働き方改革の花形として紹介されていますので、お聞きになったこともあると思います。
では、どんな仕組みなのでしょうか。
実は、「RPA」の考え方は、かなり昔からあります。Windowsのように、マウスとキーボードを使用して業務を行うようになった時から、研究・開発され、いくつか製品もあったと聞いています。しかし、その有効性が広く認識され、利用されるようになったのは、最近の事だと思います。
「RPA」は、人間に代わって、プログラムがマウスやキーボードを操作して仕事をしてくれるものと考えてください。最近では、これに加えて、ロボットアームをコントロールして、伝票をめくったり、帳票をプリンターにいれたり、イメージスキャナーを操作したりする「RPA」もあるようです。
当然、プログラムですから、人間がコンピュータに仕事を教えることから始めなければなりません。そして、当たり前ですが、教えた事以外はできませんし、想定外の事象が発生して、誤処理しても気づかないという事も発生します。何かのセミナーで、「RPA」は、「手が早い幼稚園児の事務員」と言っていました。まさに、決められたこと以外で発生した問題を察知して処理を停止したり、斟酌したり、上司に相談したりすることはできないのです。
業界誌では「何千人の事務員を削減できた」等々の報道がありますが、削減された仕事の内容は、反復作業で、かつ、膨大な事務量がある領域の仕事なのです。そのような仕事は、金融機関や保険業界以外には、あまり存在しないかもしれません。
人間は、当たり前ですが優秀で、作業の目的や方法を「口頭」で説明すれば、大概、何とかなります。また、分からない点があれば、自分で考えるか、人に聞くか、自律的に仕事をします。だから、人間が一番効率が良いのです。
でも、実際は、処理をこなす為に残業が増えたり、休日出勤して処理したりしなければなりません。この仕事の山崩しに「RPA」の導入しては?とベンダーが提案しています。でも、そのアプローチ、本当に正しいでしょうか?
A部門から送付されるエクセルシートを見ながら、B部門のシステムに入力する仕事を「RPA」で合理化しましょうという提案をよく見かけます。確かにA部門は、システム化されていなくて、B部門がシステム化されている場合、システム全体を見直すより、「RPA」を導入した方が手っ取り早い(場合によっては費用が掛からない)ことがあるでしょう。
しかし、本当の合理化は、システムを繋いで「多重入力」を排除する事だと考えます。①エクセル入力、②システム入力。少なくとも同じデータを2回入力しているのです。これを1回で済ませれば、生産性が2倍になったと同じです。
また、入力回数が半分になれば、事務ミスも激減することでしょう。人手を減らすという点では、「RPA」でも実現できますが、じつは、システム化すると、もっと副産物的な、いや、今後はこの点がメインとなるメリットが生まれます。
この点については、別のブログでお伝えします。本日はこれまで……
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