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  • 清水 尚志

第三章 仕事と人間 その②

最終更新: 3月28日

11 仕事の生産性


生産性向上の条件


自己実現の第一歩は、仕事を生産的なものにすることである。仕事が要求する事を理解し、仕事を人の動きに即したものにしなければならない。


仕事を生産的なものにするには四つのものが必要である。


①分析

仕事に必要な作業と手順と道具を知らなければならない。

②総合

作業を集めプロセスとして編成しなければならない。

③管理

仕事のプロセスの中に、方向づけ、質と量、基準と例外についての管理手段を組み込まなければならない。

④道具

コンピュータも道具の一つである。


成果を中心に考える


成果、すなわち仕事からのアウトプットを中心に考えなければならない。

技能や知識など仕事へのインプットからスタートしてはいけない。

それらは、単に道具に過ぎない。道具をいつ、どのように使うかはアウトプットで規定される。


今日では、肉体労働に対するアプローチ、コンセプト、原理を、肉体労働以外である情報処理の仕事、事務の仕事、サービスの仕事にも適用しなければならない。


肉体労働についての体系的な方法論が適用できない分野は、発明や研究など新知識を生み出すための活動であるが、適用できると信じる理由はある。


エジソンの発明は、目的の設定・分析、プロセスの作成、相互関係の究明、それらを管理する手法を活用して偉業を成し遂げた


肉体労働も知識労働も、生産性的なものにする方法は共通している。仕事の内容の分析による、手業手順と道具を学び、それらを総合してプロセスを作成し、管理することである。道具は、生産的な仕事を行うための手段であり、目的ではないと強調している点が私たちが陥りがちな思考の溝について警鐘を鳴らしていると思います。



12 人と労働のマネジメント


X理論とY理論


ダグラス・マグレガーは、人と労働について2つの理論を示した。


X理論:人は怠惰で仕事を嫌う。強制しなければならず、自ら責任を負わない。

Y理論:人は欲求を持ち、仕事を通じて自己実現と責任を欲する。


現実は単純ではない。強いものでさえ、命令と指揮を求め、弱いものは責任という重荷に対する保護が必要である。また、この事は、人により異なり、同じ人でも状況により変化する。


アメとムチ


アメとムチのマネジメントは、現在において機能しない。


心理的支配


産業心理学は、Y理論を元にした、自己実現、創造性、人格などに基礎を置く。しかし、そのその中身は真理操作による支配である。そして前提はX理論による支配である。飢えや恐怖や物質的な報酬での支配ではなく、疎外の恐れや安定の希求によって支配されている。


心理的支配は、マネジメントとして魅力がある。ところが現実には至っていない。その理由は、心理的支配が有効たるには、支配する側が万能の天才を必要とするからである。心理学ではあらゆる心理学的手法に精通すなければならず、全部下の共感を得なければならない。あらゆる性格的構造、心理的欲求、心理的な問題を理解しなければならない。つまり、マネジメントは全知全能でなければならない。


仕事の上の人間関係は、尊敬に基礎をおかなければならないが、心理的支配は、伝統的なX理論以上に人を軽蔑している。マネジメント以外を馬鹿だと断じている。つまり、バカげた仮説なのである。


有効な方法は何か


働くことが成果と自己実現を意味した時期や組織があった。それは、『国家存亡の時』であった。


日本での成功


日本での成功の特徴は、1920年代から30年代にかけた大組織向けに開発されたものである。


①職務設計を行わず、仕事の内容を明らかにした時点で職場に仕事を任せる

②トップマネジメントから全ての社員が退職するまで研鑽を日常の課題とする

③終身雇用制を持つ

④福利厚生が少なくとも賃金と同様に重視される

⑤強力なリーダーを育ててるように見えないが、年功序列により、若手を育てる事が求められた

⑥組織のあらゆる階層において意思決定が何を意味するかを考えて責任を分担する。権限による参加ではなく責任による参加である。


このような慣行は、古来からのものではないが、日本の基本的な心情と価値観を反映しており、そのまま欧米に移植できないが、日本特有のものではない。同じ考え方は欧米にも存在している。


ツアイス方式の秘密


ツアイスは、光学ガラスをレンズ加工する際に必要なプロセスを分析し統合したが、ヘンリーフォードのように働くことを組織化する事はなく、職務を編成する責任を現場に与えた。光学部品を日用品に使用できるようにするために、現場が自律的に工具を開発した。その結果、長年光学レンズで世界的な独占を享受できたのである。


ツアイスは、日本企業より進んでいた。働く者は、製品や仕事についてフィードバックを必要とすると考えた。働く者自身が、自らの仕事を管理しなければならないと言っていた。


IBMの試行錯誤


職務の範囲を広げ、個々の作業を単純化し、一人の人に複数の職務を与え、仕事に変化を与えることで、働く者に誇りをが埋めれ生産性は大幅に改善した。


IBMは、監督の職務も変えた。IBMには監督(管理者)はいない。その代わりに業務を理解し、仕事の環境を整えるアシスタントがいる。


これら働くことに関するマネジメントは、家族的マネジメント、参加型マネジメントなどを含めて「権限」の組織化に焦点を合わせてきたが、日本企業、ツアイス、IBMは、働くことの基礎として「責任」の組織化を行った。


人と労働のマネジメントは心理的支配が有効であると思っていましたが、実は日本の高度成長を支えてきたものは、「責任」の組織化であったと知って少々びっくりしました。この日本的経営については、「育てる経営の戦略 高橋伸夫 著」に詳しく書かれています。興味があればぜひお読みください。




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