経営者支援 ITコーディネート業務効率化システム構築

  • 清水 尚志

第五章 マネジャー その②

24 自己管理による目標管理


四つの阻害要因


組織の中の人間が果たすべき貢献は多様である。しかし、それらの貢献は共通の目標に向けられていなければならない。


組織には、人を誤った方向へ誘導する要因が四つある。


①技能の分化

三人の石工の話がある。何をしているのかと問われて、一人目は「生活の為」と答え、二人目は「最高の石材を切り出している」と答え、三人目は「教会を作っている」と答えた。まさに、第三の男がマネジャーである。残りの二人はマネジャーにはなれない。なぜなら、一人目は報酬のみを知っている。二人目は熟練した技能を習得しているが、自分の技能が大きな事であると誤認する場合がある。技能の重要性は強調されなければいけないが、組織全体のニーズとの関連において協調されねばならない。

近年、高学歴、高スキルの専門家が増えている。彼らは、その専門性で組織への貢献を果たしているが、技能自体が目的化してしまう危険がある。


②組織の階級化

組織の階層的な構造(上司・部下の関係)が、この危険をさらに大きくする。上司の言動、些細な言葉尻、癖や習慣までもが計算された、意図されたものと受け取られる。つまり上司が言っている事と、実際が違うと感じるのである。この問題を解決するには、全員の目を仕事が要求するものに向けさせる組織構造が必要である。


③階層の分離

階層のによって、仕事と感心事に違いがあることからも危険が発生する。この問題も良き意図や態度で解決できない。これもまた、組織構造の問題であり、コミュニケーションの改善では解決できない。欠如しているのは。コミュニケーションより前の組織構造にある。


④報酬の意味付け

報酬は、組織にとってのコストであり、一人一人にとっては、収入である。報酬は、組織や社会における位置づけや、成果、評価をあらわす。正義、公正、公平の観念とも情緒的に結びつく。

しかし、報酬について、公式を求めても無駄である。いかなる報酬体系も妥協の産物である。

最強の報酬システムであっても、一方では組織を強化するが、他方では弱体化させる。

しかるに、組織内の人間にとって、報酬や報酬システムほど強力な信号はない。

報酬は、金銭的な意味合いだけでなく、トップマネジメントの価値観を教える。自分にいかなる価値があり、どんな位置づけで、認められているかを教える。


目標管理


マネジャーたるものは、上は社長から下は事務主任に至るまで明確な目標を必要とする。

目標は、自ら率いる部門が、上げるべき成果を明らかにしなければいけない。

他部門の目標を達成する助けとなるべき貢献を明らかにしなければいけない。

目標には、チームとしての成果を組み込んでおかなければならない。

それらの目標は、常に組織全体の目標から導き出したものでなければならない


それらの目標は、短期的視点と長期的視点から規定しなければならない

経済的の目標以外に無形の目標(マネジャーの組織化と育成、部下の仕事ぶり、社会に対する責任)も含まねばならない。


適切なマネジメントを行うには、トップマネジメントが目標のバランスを図らなければならない

キャンペーン方式(経費節約キャンペーンなど)のマネジメントは、最も避けるべき悪習である。キャンペーン方式は、目先の成果を求めるあまり、誤った方向(高給取りがタイプを打つなど)に誘導され成果がないだけでなく、本当の仕事を犠牲にする。


目標は、組織に対する貢献で規定しなければならない。プロジェクトエンジニアの目標は、技術部門に対して果たすべき貢献によって規定され、事業部長の目標は、組織全体に対して果たすべき貢献で規定される。


上位のマネジメントは、下位の目標を否定する権限を有するが、それらの目標を規定するのは、各人の責任である。自らが属する組織の目標の設定に参画する事も、各自の責任である


自己管理


目標管理の最大の利点は、自らの仕事をマネジメントできるようになることである。

自己管理は、強い動機づけになる。最善を尽くす願望を起こさせる


自らの仕事ぶりを管理するには、自らの目標を知っているだけではいけない。目標に照らして、自らの仕事ぶりと成果を評価できなければならない。そのための情報を得る事が不可欠である。しかも、必要な是正措置がとれるように、情報を早く手にしなければいけない。


それらの情報は、自分自身にのみ伝えるべきであり、上司に伝えるべきではない。情報は、自己管理のための道具であって、上司が部下を管理するための道具ではない。


自己管理による目標管理は、人間と言う者が、責任、貢献、成果を欲する存在であるという事が前提にある。自己管理による目標管理こそが、マネジメントの哲学である


25 ミドルマネジメント


人員過剰の問題


ミドルマネジメントブームは、先進国において急速にミドルマネジメントの労働力を増加させ、混乱し、無駄が生じた。過剰なミドルマネジメントは、成果と意欲に「成果」を超えた害を与えた。


ミドル・ブームと、過剰人員は、大組織の指揮と動機づけに悪影響を与えた。大企業や政府機関、学校病院に大挙して就職した人達の不満や挫折感の原因は、人員の過剰であった。


なにより、ミドルマネジメントから無駄を排除しなければいけない。「本当にしなければいけない事は何か」「必要のない事、削減すべきことは何か」を考え、増加するミドルマネジメントを方向付け、管理し、マネジメントしなければいけない


新種のミドルマネジメント


伝統的なミドルは、命令する人であったが、新種のミドルは、知識を供給する人である。

伝統的なミドルは、下の者、すなわち、報告する者たちに対して「権限」を持つ

新種のミドルは、上や横に向かって、すなわち、自分が命令する事が出来ない者たちに対して「責任」を持つ。かれらは、専門家である。専門家の決定と行動が、組織の方向と能力に直接影響を与える


P&Gのプロダクトマネジャーや、品質管理の技術者、税務担当の専門家は、製造ラインのマネジャーでなければ、スタッフでもないが、助言や教示ではなく、現業の仕事を行う。地位、報酬、職務はトップマネジメントでなくても、トップマネジメントと同等の責任を負う。


専門家は、組織の意思決定はできないが、意思決定に必要な知識を供給する事により組織に貢献する。しかも、その意思決定は、専門家が自らの責任と権限に基づいて実行に移さない限り真の効果を発揮しない。

26 組織の精神


天才をあてにするな


組織の目的は、凡人をもって非凡な事を成し遂げる事にある。天才に頼ることはできない。

凡人から強みを引き出し、他の者の助けとるす事が出来るか否かが組織の良否を決める。

同時に、組織は、人の弱みを無意味化する。

要するに、組織の良否は、成果中心の精神があるか否かによって決まる


①組織の焦点は、成果に合わせなければならない。

②組織の焦点は、問題ではなく、機会に合わせなければならない。

③配置、昇給、昇進、降格、解雇など人事に関わる意思決定は、組織の信条と価値感に沿って行わなければならない。

④これら人事に関わる決定は、真摯さこそが唯一絶対の条件であり、すでに身につけていなければならない資質であることを明らかにするものでなければならない。



成果を中心に考える


あらゆる組織が「事なかれ主義」の誘惑に晒されている

だが、組織の健全性は「高度の基準の要求」である。目標管理が必要とされるのも、高度の基準が必要だからである。


成果とは何かを理解しなければならない。


成果とは、百発百中の事ではない。成果とは、長期的なものである。

そして、間違いや失敗をしない者を信用してはならない。そのような者は、見せかけか、無難な事、くだらない事にしか手を付けない者である。成果とは打率である。弱みが無いことを評価してはいけない。弱みを評価すると、意欲を失わせ、指揮を損なう。優れている人ほど多くの間違いを犯し、新しい事を試みる。


組織において重要かつ困難な問題は、長年真摯に働いていた者が、仕事の変化により組織に貢献できなくなった場合の処遇である。組織の精神を大切にするマネジメントは、この種の問題を慎重に扱う。


機会に集中する


組織は、問題ではなく、機会に目を向ける事により、その精神を高く維持できる。組織は、機会にエネルギーを集中する時に、興奮、挑戦、満足感に満ちる。


問題は無視できなkが、問題中心の組織は、守りの組織となり、昔を黄金時代と考える組織となる。そのような組織は、悪くさえならなければ成果を上げていると考える組織である。


人に関わる意思決定


成果中心の精神を高く維持するには、配置、昇給、昇進、降級、解雇など人事に関わる意思決定こそ、最大の管理手段であることを認識する必要がある。それらの決定は、人間行動に対して数字や報告よりもはるかに影響を与える。組織の中の人間に対して、マネジメントが本当に欲し、重視し、報いようとしているものが何なのかを知らせる。


真摯さ無くして組織なし


真摯さを絶対視して、初めてまともな組織と言える。


それは、人事に関わる決定において象徴的に表れる。真摯さは、すでに身に着けていなければならない。共に働く者、特に部下は、2~3週間で分かる。無知や無能、態度の悪さ、頼りなさは寛大でいられるが、真摯さの欠如は許さない。そのようなものをマネジャーに選ぶことを許さない。


真摯さの定義は難しいが、マネジャーとして失格とすべき真摯さの欠如を定義することは難しくない。


①強みよりも弱みに目を向ける者

出来ない事に気づいても、出来る事に目が行かない者は、やがて組織の精神を低下させる。


②何が正しいかよりも、誰が正しいかに関心を持つ者

仕事より人を重視する事は、一種の堕落であり、やがては組織を堕落させる。


③真摯さよりも頭の良さを重視する者

そのような者は、人として未熟であり、その未熟さは治らない。


④部下に脅威を感じさせる者

そのような者は、人間として弱い。


⑤自らの仕事に高い基準を設定しない

そのような者は、マネジメントと仕事に対するあなどりを生む。


知識もさしてなく、仕事ぶりがお粗末で、判断力も行動力も無くても、マネジャーとして無害な場合があるが、逆の人材であっても真摯さに欠けていれば、組織を破壊する。組織にとって最も重要な資源である人間を破壊する。組織の精神を損ない、業績を低下させる。


五章が終わりました。148ページまで進みました。


組織の中のミドルマネジメントを担うマネジャーには、能力よりも真摯さが何より大切であると結論づけています。


次章は、マネジメントの技能です。


お楽しみに。

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