経営者支援 ITコーディネート業務効率化システム構築

  • 清水 尚志

第一章 企業の成果 ②企業とは何か

企業=営利組織ではない


多くの人達は、企業は、利益を追求する組織であると考えています。経済学者も利益が目的であると考えています。


しかし、ドラッカーは、「利潤動機」には意味が無いと完全否定しています。利益そのものを神話化する危険性があるとも言っています。


ここは、抑えておくべき点でしょう。「利益が出ればよい」と考えると、出来るだけ安く仕入れて、高く売ることで「利潤」が生まれ、出来るだけ安い賃金で雇い、沢山働かせれば「利潤」が生まれる。


これって、ブラック企業そのものですよね。


そこで、ドラッカーは、「利益は個々の企業にとっても、社会にとっても必要である。しかし、利益は目的ではなく、条件である。だから、どんな企業でも、利益に対して重大な関心を持たねばならない」「企業のは、高い利益をあげることにより、初めて社会貢献を果たすことができる」とと説いています。


つまり


企業は、利益を目的にすると、害毒を社会にまき散らす存在になってしまう。だから、企業は利益を目的とするのではなく、社会貢献するための条件である利益を追求しなければならない


と言っているのです。

企業の目的


企業の目的は「顧客を創造する事」であると説いています。


「市場を作るのは「潜在的な欲求」を「有効需要」に変えることである。しかし、社会が欲求を感じていない場合もある。コピー機やコンピュータは、それらが手に入るようになって初めて欲求が生まれた。イノベーション、広告、セールスによって欲求を創造するまで欲求は存在しなかった。」


つまり、欲求は、創造できるものであると説いています。


「企業とは、何かと決めるのは、顧客である。なぜなら、顧客だけが支払いの決定権を持ち、経済的資源を富に、モノを財貨に変えるからである。」


つまり、顧客は、自身が欲する「モノ」や「サービス」を選んで購入するという当たり前の行動を言っています。


これらの事実から、以下の結論が導き出されます。


企業の目的は、顧客の創造である。したがって、顧客の欲求を掴むためのマーケティングと新し欲求を満たすためのイノベーションの2つだけが成果をもたらす


というものです。

マーケティング → 顧客の欲求からスタートする


「今までの企業は、マーケティングを行ってこなかった。つまり、販売に関する全職能の遂行(つまりたくさん売る)を意味するするに過ぎなかった。自分たちの製品が売れる市場を探していた。

しかし、真のマーケティングは、「顧客が価値ありとし、必要とし、求めている満足を探求する」ことをいう。

マーケティングが目指すものは、「顧客を理解し、製品とサービスを顧客に合わせ、おのずから売れるようにする」ことである。」


私たちは、今ある商品を如何に売るか(プロダクトアウト)の世界でマーケティングを理解していますが、本来の姿は、顧客のニーズを掴む、掘り起こす(マーケットイン)を目指すべきであると言っています。

イノベーション → 新しい満足を生み出す


「マーケティングだけでは企業としての成功はない。静的な経済では発展しない。従って、企業の第二の機能は、イノベーションである。イノベーションの効用は、価格の値下げがある。しかし、価格に焦点を当てたのは、過去は、定量的に計る事が出来たのは、価格であったという理由に他ならない。イノベーションの結果がもたらすのは、より良い製品、より多くの便利さ、より多くの欲求の満足である。


例えばiPhoneが良く例にだされます。携帯電話というカテゴリの延長線上にない端末であるスマートフォンは、新しい満足と便利さを創造しました。これこそがイノベーションです。


「イノベーションは、発明ではない。技術のみに関するコンセプトでもない。経済に関わることである。経済的なイノベーション、社会的なイノベーション、は、技術的なイノベーション以上に重要である。イノベーションとは、人的資源や物的資源に対し、より大きな富を生み出す新しい能力をもたらすことである。

つまり、イノベーションは、あらゆる社会のニーズに対して影響を与える機会であると捉える必要がある。社会や学校、医療、都市、環境などのニーズが強く意識されている昨今は特にイノベーションの重要性が強調されるべきである。


イノベーションは、産業や工業の世界の概念としてとらえていますが、実は、社会全てに適用できる概念なのです。新しい価値観の提供や欲求の掘り起こしによる顧客の創造につながる全ての活動がイノベーションなのです。

生産性に影響を与える要因


「顧客の創造という目的を達するには、富を生むべき資源を生産的に活用しなければならない。これが企業の管理的な機能である

生産性の評価のコンセプトは、労働だけではない。成果に結びつくあらゆる活動を含む生産性がコンセプトである。


「目に見える直接的なコストとして測定できるものに限定していたのでは、生産性を正しく評価できない。生産性を図るための指標、要因を以下に示す。


①知識

②時間

③製品の組み合わせ(プロダクトミックス)

④プロセスの組み合わせ(プロセスミックス)

⑤自らの強み

⑥組織構造の適切さ


これらすべて、労働、資本、原材料など会計学や経済学のいう生産性要因に追加すべき要因である。」


従来型の「生産性」は、時間単位の生産性(少ない人数でどれだけ生産できるか)を重点的に検証しマネジメントしようとしていましたが、これに加えて、知識や自らの強み、そして、組織の適切さ(私的には、これが一番大切だと思っている)にスポットライトを当てたところが素晴らしいと思います。

利益の持つ機能とは何


「利益とは「原因」ではなく「結果」である。

マーケティング、イノベーション、生産性向上の結果、手にするものである。

従って、利益は、それ自体致命的に重要な経済的機能を果たす必要不可欠のものである。


①利益は、成果の判定基準である

②利益は、不確定性というリスクに対する保険である

③利益は、より良い労働環境を生むための原資である

④利益は、医療、国防、教育、オペラなど社会的なサービスと満足をもたらす原資である。


社会及び経済に必要不可欠である利益については、利潤動機や利潤極大化を目指さない限り、弁解は不要である。


企業人が罪を感じ、弁解の必要を感じるべきは、経済活動や社会活動の遂行が困難になることであり、利益を生むことが出来なくなったときでである。


NPO法人であっても、医療法人であっても、地方公共団体であっても、経済的に破綻させてはいけません。経営資源を適切に管理し、生産性を上げ、顧客と新たな価値を創造する事で事業を継続させ、成長するために必要な原資が利益である。

いかがでしたでしょうか。(現在やっと21ページまで進みました)


企業は利潤を追求する必要があるが、利潤が目的ではなく、企業が社会に貢献するために存続するための原資であるということが、本章の言いたい事だったと思います。


次回は、「3 事業とは何か」 へと続きます。


5回の閲覧0件のコメント

最新記事

すべて表示