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経営者支援 ITコーディネート業務効率化システム構築

  • 執筆者の写真清水 尚志

第一章 企業の成果 ③事業は何か

自社をいかに定義するか


企業は、あらゆる組織に高度な知識や技術を持った者が多数いて、重要な意思決定が、あらゆる階層で勝手になされている。何を行い、何を行わないのか」など、リスクを伴う判断を、責任のない地位にいる者たちによって行われている


その意思決定は、漠然とした「我々の事業は何か、何であるべきか」とい問いに対しての答えにより行っている。


従って、企業自らが、「我々の事業は何か、何であるべきか」という問いに対して、徹底的に検討し、答えを持ち、共有しなければ、各自が行う判断に矛盾や、違いが生まれて、間違った判断を下すことになる。


だから、あらゆる組織において、共通のものの見方、理解、方向付け、努力を実現するためには、明確に「我々の事業は何か、何であるべきか」を定義しなければならない。


私が、会社に勤めていた時に感じた矛盾を、端的に指摘しています。

つまり、会社組織としての目標が、部門ごとの目標と連続性がない点を指摘しています。

「自社は、何を目的としているのか」「自社は、社会に対してどんな貢献をするために存在するのか」という大目標を共有できずに、自部門の社内的な評価を優先さた方針を決定する。

そして、個人も自分の価値観で判断する。

その結果、会社が目指す方向性と違う方向へ突き進むことになり、会社全体が社会に対しての成果が出ない。

そんな組織が余りに多いと感じています。

 

われわれの事業は何か


個々の事業内容は、容易に説明できる。鉄道会社は、顧客を運び、保険会社は、危険を引き受け、銀行は、金を貸す。


しかし、「われわれの事業は何か」の正しい問いに正しく答えることは難しい。この問いに答えることが、トップマネジメントの責任であるからである。


この問いに正しく答えを導き出せない企業は、挫折し、失敗する。


われわれの事業とは何か、すなわち、目的と使命は何かを考える出発点は「顧客」だけである。


つまり、われわれの事業の検討は、顧客の「価値」「欲求」「期待」「現実」「状況」「行動」からスタートさせなければならない。


裏を返せば、多くの企業は、顧客本位の目線を持っていないと言っています。どうしても、成果を収益とを混同して考えてしまい、収益を上げることが成果であると考え、収益性を第一位に判断基準を置いています。

短期的には、この方針は利潤を生みますが、中、長期的には、顧客は離れ、シェアーを落とし、企業の成長が止まり、やがて市場から去ることになります。

先に章に書かれている通り、「企業の目的は顧客創造にある」という精神がここでも繰り返してのべられています。

 

顧客とは誰か


「顧客とは誰か」という問いこそ、個々の企業の使命を定義するうえで、もっとも重要な問いである。この問いに対する答えによって、「企業自らをどう定義するか」がほぼ決まる。


消費者、すなわち、財やサービスの最終利用者は顧客である。しかし、顧客は常に一種類ではない。ほとんどの事業は、少なくとも二種類以上の顧客を持つ。


例えば、カーペット産業は、建築業者と住宅購入者。生活用品のメーカーは、消費者と小売店がある。消費者が商品を買いたいと思っても、販売者が取り扱いたいと思わなければ売れないし、販売者が売りたいと思っても、消費者が受け入れなければ、商品は売れない。


多くの場合、マーケティングは、最終消費者の好みをターゲットにして調査しおていますが、実は、販売者のモチベーションも考慮する必要があると説いています。

この戦略に気づくか否かで、寡占的なシェアーが逆転した例が、ビール業界でした。新しいビールの味を消費者に提案するだけでなく、販売チャネルの多角化(売りたい商品に仕立てる)戦略を推し進めることにより、ガリバーを倒すことが出来たのです。

顧客の多様性、多面性を考える事の大切さを説いています。

 

顧客はどこにいるか、何を買うか


顧客は静的なものではなく、動的に移動する。


購買層は、時代により移動する。農村が自給自足の時代から、車を持つようになり、町で買い物をするようになる。


ものの価値も変化する。車は移動手段として購入されていたが、経済が豊かになると、車は富の象徴として購入されるようになる。


本書では、キャデラックを例に説明しています。移動手段の購入から、ステータス目的の購入に市場が変化している点に気づいたキャデラックは、破産寸前から成長企業に変身したと説明しています。

 

いつ問うべきか


ほとんどのマネージャーは、苦境に陥った時にしか「われわれの事業は何か」を問わない。

この問いに正しく答えを導き出せれば、目覚ましい成果を上げて回復するだろう。


しかし、苦境に陥ったときにだけ問うということは、ロシアンルーレットに身を任せるも同然であり、マネージャーとして、あまりに無責任である。


この問いは常に行わなければならない。


「常在戦場」とい言葉があります。常に戦場である気構えで事に当たれという意味です。戦いになって初めて、考えるのではなく、常に考え、思考をブラッシュアップしていなければいけないと説いています。

 

われわれの事業は何になるか


「われわれの事業は何か」との問いに対する答えで、大きな成果を達成した企業でも、その答えは陳腐化する。もってせいぜい10年であろう。


よって、マネジメントたるものは「われわれの事業は将来、どうなるか、どうなるべきか」を考え、われわれの事業の持つ「性格」「使命」「目的」に影響を与える恐れのある環境の変化は認められるかを予測し、それらの予測で、事業についての定義、すなわち、事業の目的、戦略、仕事の中に、現時点で、いかに組み込むか、を考えなければならない。


特に、注意しなければならないのは「人口構造の変化」である。それは、「人口構造の変化」のみ未来に関する唯一、予測可能な事象だからである。


次いで、経済構造、流行と意識、競争の状態の変化による市場構造の変化も重要である。直接的な競争だけでなく、間接の競争も含めて明らかにする必要がある。


最後に、消費者の欲求のうち「今日の財やサービスで満たされない欲求は何か」を問わなければならない。この問いを発して正しく答えられる能力を持つ事が、波に乗るだけの企業と成長する企業の差となる。波に乗るだけの企業は、波と共に衰退する。


どんなに素晴らしいビジネスモデルでも、人口構造の変化と社会の変化、競争相手の発生など、経営環境が目まぐるしく変化するので、常に、自分たちがどうあるべきか考えながらマネジメントしなさいと説いています。

そして、現状に満足せず、常に顧客志向で、新しいニーズを模索することで、成長する企業になれるとも説いています。

 

われわれの事業は何であるべきか


「われわれの事業は、なにになるか」は、変化に対応するための問いである。この問いは、現在の事業を修正し、改善し、延長し、発展させる。延長線上の成長を達成するための問いである。


しかし、「われわれの事業は、なんであるべきか」との問いも重要である。

この問いは、現在の事業とは全く別の事業に変えることにより、新しい機会を開拓し、創造できるかもしれない。この問いを発しない企業は、重大な機会を失う。


この問いに答えるうえで考慮すべき要因は、「社会」「経済」「市場」の変化であり、イノベーションである。イノベーションは、非連続的な飛躍をもたらす。


今の事業の目的が、今後も社会の欲求であるか不確実であると説いています。社会構造の変化や経済状況の変化により、その事業の価値も変化します。

新しい価値の創造は、自らによるイノベーションと他者によるイノベーションがあると説いています。

 

われわれの事業の内何を捨てるか


「われわれの事業は何か、何になるか、何であるべきか」を決定するうえで不可欠なステップは、既存の製品、サービス、工程、市場、最終用途、流通チャネルの分析である。


それらが「今日も有効か、明日も有効か」「今日の顧客に価値を与えているか、明日も価値を与えられるか」「今日の人口、市場、技術、経済の実態に合っているか、もし、合っていなければ如何にして廃棄するか、又は、経営資源の配分を最小化できるか」を考えなければならない。


社会のニーズに合わない製品やサービスを維持するということは、有限な経営資源を無駄にすることになるからである。


事業を定義することは難しい。苦痛は大きく、リスクも大きい。しかし、事業の定義があって初めて目標を設定し、戦略を発展させ、資源を集中し、活動を開始できる。業績をあげるべくマネージメントできるようになる。


限られた経営資源は、時代遅れの製品やサービスを維持するために浪費してはいけないと説いています。

そして、「われわれの事業」を正しく定義することで、初めて業績をあげるべくマネージメントができるようになると説いています。

つまり、戦う土俵を明確にしないと、マネージメントは機能しないという事です。

 

いかがでしたか。ここまでで28ページまで進みました。


いままでのマネジメントのイメージが大きく変化しませんか?


マネージメントは、いまある経営資源を上手に運用する事がマネジメントだと思っていた方もいらっしゃると思いますが、実は、マネージメントは、経営そのものなのですね。


次は、④事業の目標 に続きます。


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