top of page
ポーカーゲーム

親の総取を目指すべからず

システム開発は高価な買い物なので、顧客(発注者)側は、要求の全てを実現したい気持ちは良く分かりますが、思いのままプロジェクトを進めるとプロジェクトが頓挫する可能性が高くなります。
 
システム開発には目的があり、実現したい価値が存在し、完成形の青写真は存在します。しかし、企画段階から完成形を明確に、すなわち「天然色の写真」のようにイメージすることは至難の技です。特に基幹系のシステムなど利用者や業務が多岐にわたる場合、要件漏れや仕様相違、ユーザインターフェイスの考慮もれなど、開発を進め、テストを繰り返すことで明確になる場合がほとんどです。
特にエンドユーザーが参画するテストに至ると、使いずらいとか、現場からの新しい要件が噴出します。プロジェクトの目的に「業務の効率化」が掲げられている場合、現場からの「効率化要求」を切り捨てることは難しく、受け入れざるを得ないと判断し、仕様が膨れ上がったり、最悪の場合、基本仕様さえ変更を余儀なくされる場合もあります。
早い段階から経営が膨張する仕様と費用、長引く開発期間について了解を得ていれば最悪の事態、すなわちプロジェクトの完遂を断念する事態が発生することはありませんが、この状態をプロジェクト内で抱え込み、経営の判断時期が遅れれば、プロジェクトが破綻する可能性が高くなり、かつ、委託企業に与える有形無形のダメージが指数的に高くなっていきます。
 
では、なぜ、仕様爆発を止めることができないのでしょうか。
 
発注側の問題として考えられるのは、システム開発に対する認識の甘さにあります。仕様変更や追加仕様を依頼する際に、実装時の影響を認識せずに、軽い気持ちで依頼するからです。そこには発注側が上で受注側が下という、上下関係を意識しているからかもしれません。
また、IT投資では普段の予算感覚と桁違いのプロジェクトになるため、「これくらいの無理は当然ベンダー側も想定しているだろう」との思いがあるのも事実です。
 
受託側のSEも委託側の気持ちは十分に理解しているため、多少の無理は受けたいと思っています。それは、これからの人間関係を危うくしたくないという消極的な意思も含まれているかもしれません。
そういった環境で、プロジェクトを進めると、至るところに歪が発生します。担当者ごとに仕様変更を安易に受け入れた結果、上流・下流のシステムの仕様変更に波及して、ほんの些細な修正と思っていた仕様変更が、実は大変な仕様変更であることが後々判明することも多々あります。
では、誰がこのコストを誰が負担するべきなのでしょうか。
この問題は根が深く、訴訟問題に発展している例が沢山あります。また、そもそも、善意から発生した仕様変更なので、なんとか丸く収めようとする心理が働き、後手後手にまわり、ますます問題が拡大する傾向があります。委託側から見ると、「システムのプロなのだから、予算超過の管理はしっかりすべきだ」と突っぱねたい気持ちがありますし、受託側から見ると「仕様変更は委託側の要求だからコスト負担は当然である」との立場に立ち、どちらも「親の総どり」を目指して紛糾しがちです。
どうしてこのような状況に陥るのでしょうか。
システム開発は、ビルの建設のように進捗が見えにくいという特性があります。例えば、ビルの鉄骨組上げが完了したあとに、「あと2階高くしたい」なんて言い出す施主はいません。
しかし、システム開発は実際にテストに参加するまで、依頼者が進捗を実感できません。依頼者が10階建てのビルを想定していたのに、実際は8階建てであったような感覚を覚えるのは無理からぬ場合もあります。
だから、システム開発は、早い段階から企画者、利用者、開発者が相互理解する場を持つ必要があるのです。
また、「私はシステムのことは分かりません」と言い切る経営者もおいでですが、それは間違いです。仕組みを理解する必要は必要ありませんが、導入目的と導入後にもたらされる価値についてはしっかりと理解し、プロジェクトの進捗を統制しなければなりません。
プロジェクトが失敗したら「ベンダーの責任で何とかなる時代」は、遠い昔のお話です。
このように、プロジェクトは適切に管理運用しなければ円滑に開発が進まず、最悪の場合、破綻してしまいます。プロジェクトの運営にはある程度のフレームワーク(やり方)が存在しますが、フレームワークを勉強したからすぐに役立つものではありません。つまり、経験と実績が必要なのです。
これからは、継続的にいろいろなプロジェクトが発足させ連綿と企業価値創造して成長する必要があります。そのためにも、プロジェクト運営のノウハウをいち早く社内に根付かせなければなりません。
内部の人材で不足するスキルは外部から調達する方法が一番です。もし、そのようなニーズがある場合は、ITCにご相談ください。豊富な経験から、プロジェクトの現状を把握して最適な解決方法を提案できると考えています。
bottom of page