「ボトルネック」を意識しましょう

​「ボトルネック」ってご存知でしょうか。瓶の首、すなわち、瓶の中身を出し入れする為の細くなった部分です。一升瓶に入っている水を抜こうとする場合、瓶の首が細くて、なかなか水が出てこない事があります。これを解消しようとして、瓶をぐるぐる回して空気の通る道を作ると、少し早く抜くことができますが、バケツから水を出すほど、劇的に早くなることはありません。

同じことが、仕事の中にも発生します。最新のシステムを導入しても、どこか処理能力に制限があって、その制限の為に生産性が上がらないことが起きるのです。

それを解決するために、そのボトルネックの能力を上げるために、工場であれば処理能力の高い機会にリプレイスすればいいのですが、事務部門や営業部門などは、そう簡単にボトルネックを探して対応する事は出来ません。

生産性や成績のアップを目指して、担当者の処理能力を高めボトルネックを解消するために、IT化を試みるのですが、多くの場合失敗します。理由は、特定の部門だけ生産性(スループット)を上げても、別の個所でボトルネックが発生するからです。つまり、ボトルネックが移動するのです。

そもそも、ボトルネックとは、全体最適化されていない環境が問題である場合が殆どです。仮に、全社の物流や情報の流れが最適化されていれば、今、何処にボトルネックがあり、対策はどうすれば良いか、そして、その対策で発生したボトルネックは何処に移動して、どんな問題が発生しているか、をモニターリングすれば、組織の生産性は極限まで高くなります。

この状態が、全体最適化された状態です。しかし、現実には不可能な場合が殆どでしょう。仕組み自体が複雑で、高度なマネージメントが必要になる反面、生産性を向上させられる上限に近づけば近づくほど、コストが利得を上回るようになるからです。

しかし、少なくとも、全体最適化を考慮した仕組み作りが成されていれば、発見したボトルネックを解消する事が比較的に簡単にできます。

例として、毎月締め日になると、経理担当者は、深夜まで残業して書類を作成していたとします。そこで、集まった資料を今流行のRPA(Robotic Process Automation)で入力作業を自動化したとします。確かにデータ入力作業はロボットに肩代わりしてもらって、時間を短縮する事ができましたが、その後処理は従来と同様に手作業です。劇的な生産性向上とは言えない状況です。察しの良い方なら、入力後の後処理を、マクロなどを活用して自動化すればよいと気づかれますが、ここにも大きな落とし穴があります。つまり、EUC(End-User Computing)の罠です。複雑なマクロは、作った本人もメンテナンスが出来なくなり、いづれ破綻する可能性があるのです。

このような現象は、多くの企業で見られる光景です。大企業でもこのような課題を抱えた企業が沢山あります。特に、特定の業務を早い段階でIT化した業種に多い様です。

では、どうしたらいいのでしょうか。前述のように、全体最適化を考慮した仕組みがあれば、そのボトルネックは解消できます。

例えば、RPAを導入することなく、係数を報告する様式を統一し、データとして扱えるように工夫するだけで、簡単な集計ロジックで集計できます。その場合は、自動で集計できるように、項目に全社統一のコードを付与する事が不可欠です。このような方法で、集計事務の合理化を行えば、転記ミスや入力ミスを無くす事ができると同時に、項目の捉え方が安定して統計自体も正確になります。

これだけでも、ボトルネックは解消できますが、情報の利用・活用の面から考えると、とても「もったいない」状況と言えます。つまり、経理で収集した情報を他の部門では活用できないからです。

多くの企業は、出来た資料を、エクセルシートとして公開して利用を促進させていますが、部門ごとにスキルの高い、低いがあり、利用・活用が進まない問題もあります。

このように、ボトルネックを意識して改善する事は、その後のデータの利用・活用による更なる業務改革への繋がっていきます。

​ボトルネックを探し、単に、そのボトルネックを解決するのではなく、全社レベルで改善するにはどうすれば良いかという視点が重要です。